No.13 顧客セグメンテーション(顧客区分)

顧客対応力を強化している組織はどのような顧客管理をしているのでしょうか?

営業担当に無制限に時間があれば、すべてのお客様に十分な対応を取ることが望めますが、1ヶ月20日前後の活動日数においては、どこに時間を使うかが業績に大きく影響してきます。
重要顧客、拡大顧客、維持顧客、成行顧客と顧客のセグメンテーション化を行い、的確な対応を実施することが大切になってきます。

重要顧客は組織としての主要取引先で、競合企業からすれば何とか食い込みたいお客様です。
営業担当としては、しっかりお客様のニーズを確認した上で、的確な対応が求められます。
重要顧客と成行顧客を同じように対応していると、重要顧客においては不満がたまり、知らないうちに競合に獲られているというケースも発生します。

実際の営業活動を見える化してみると、営業担当の月の訪問件数は予定通りとなっていても、行き先が偏っている場合が多々見受けられます。多くは営業担当が行きやすい維持顧客や成行顧客への訪問が多く、重要顧客や拡大顧客への活動が疎かになっていることです。
重要顧客への対応をしっかり行いながら、拡大顧客への攻めの営業がどれだけ行えるかが成長のカギとなります。

セグメンテーションの切り口は組織により異なりますが、一般に「潜在購買力」と「取引高」で区分化している企業が多いようです。

ここでいう潜在購買力とは、自社の取扱商品群をお客様が年間でどれくらい外部に発注しているかの金額です。公開資料ではわからないことが多く、営業担当がお客様からヒアリングして設定します。
正確な金額は取れないので、おおよその金額を設定します。
取引高はお客様との過去1年間の取引金額です。

例えば、「潜在購買力」が3,000万円と1,000万円、「取引高」が1,000万円を基準とした場合は下記の設定となります。
A. 重要顧客 ・・ 潜在購買力が3,000万円以上で取引高が1,000万円以上
B. 拡大顧客 ・・ 潜在購買力が1,000万円以上で取引高が1,000万円未満
C. 維持顧客 ・・ 潜在購買力が3,000万円未満で取引高が1,000万円以上
D. 成行顧客 ・・ 潜在購買力が1,000万円未満で取引高が1,000万円未満

実際に設定する時は「潜在購買力」と「取引高」を入力し、ワークフロー機能で「顧客区分候補」を自動設定し、これを参考に業務との兼ね合いや強化策などを加味して実際の「顧客区分」を設定します。

営業担当の活動については、「A.重点顧客」には毎週訪問、「B.拡大顧客」には隔週訪問、「C.維持顧客」には月1回の訪問、「D.成行顧客」については問い合わせがあった場合に対応のような社内ルールを設定します。
実際の活動については別途集計を行い、行くべきところに訪問できているかを検証します。

また、営業担当別の顧客区分の比率も考慮する必要があります。
例えば、鈴木氏は「A.重点顧客」や「B.拡大顧客」を多く持ち、回り切れないのに対し、高橋氏は「C.維持顧客」や「D.成行顧客」が多く、行くべき顧客が少ないというような状況もあります。

営業の担当割についても、偏りが大きい場合は考慮する必要があります。

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顧客セグメンテーションは既存顧客に対しての施策が中心となりますが、新規顧客対策もとても重要になります。
一般に顧客区分に対する活動と、新規への活動のバランスが大切です。

実績のある営業担当に共通する活動は、一定の割合で新規への活動を確実に実施していることです。
新規から既存に移行するタイミングも各組織により特徴があります。
取引開始時点で新規から既存に変更する場合と、期の変わり目に新規から既存に変更する場合です。

新規開拓と顧客セグメンテーションに則した活動が営業の基本です。