No.9 日々の活動と案件更新【D】

案件営業スタイルの組織では、どのようにして日々の活動と案件更新を行っているのでしょうか?

案件営業スタイルでは、お客様の対する活動と案件に対する活動を活動フォームに入力します。基本的に、いつ、だれが、どこで、なにを、なんのために、どのようにしたかを報告します。案件については発生時に概要、時期、金額、フェーズ、見込度などを登録し、進捗がある時に更新します。
日々の入力はこの活動報告と案件更新だけです。

このことにより、重要顧客だがフォローがされていないお客様リストや、案件を登録して1ヶ月間フォローがされていない放置案件リストの作成、月別の受注予測や今期の受注見通しなどの様々は分析ができるようになります。

現状では、日報を手書きしたり、Excel やメールで報告を行ったりしている組織がまだまだ多く見受けられます。
日々の報告がされるということは大切ですが、その報告を社内でどのように活用するかで、その組織の優位性は大きく左右されるのです。

1.活動

◆営業プロセス
最初に組織の営業プロセスを確認します。案件営業スタイルでは一般に下記のプロセスが多くなっています。
【販促活動】・・・案件を発掘するための活動

<フォロー><ニーズ確認><案件発掘>

【クロージング活動】・・・発生した案件を受注するための活動

<プレゼン><要件確認><提案><交渉><受注><中止><失注>

【受注後活動】・・・受注後のフォロー活動

<受注後活動><クレーム対応><その他活動>

各々に活動での課題を整理し、改善目標を設定します。

日々の活動がどの営業プロセスに当たるかを選択します。営業担当によっては「案件発掘」までは得意だが「受注」にいたるクロージング活動が弱いタイプや、逆に案件を「受注」するまでのクロージング活動は得意だが、販促活動が苦手なタイプなど各営業担当の特徴も見えてきます。

◆活動内容
日々の活動は「活動概要(簡潔に)」「詳細情報(必要に応じて)」「今後の対応(簡潔に)」に分けて入力します。
「活動概要(簡潔に)」・・・本日の活動結果や相手の反応を簡潔に入力します。
「詳細情報(必要に応じて)」・・・備忘録的に箇条書きでポイントを入力します。
「今後の対応(簡潔に)」・・・今後の予定をできるだけ具体的は日付を入れて入力します。

一般的な報告を見ると、商談内容が長々と記入され何が大切かが読み取れないものや、自分が何を実施したかが記入されているだけで、それに対するお客様の反応や課題が分からない日報も多く見受けられます。

活動報告で大切なことは「活動概要(簡潔に)」と「今後の対応(簡潔に)」です。「詳細情報(必要に応じて)」は必要なときに補足的にみる資料とすることで、商談の経緯を時系列に確認し次の一手を検討できるとともに、入力負荷も軽減することができます。商談内容を簡潔に報告することは、最初は難しいのですが、よい報告事例を紹介していくことで確実に上達していきます。

◆活動予定
一般に日次や週次で営業の活動を確認し、マネージャーが指示・指導するケースが多いのですが、これを予定に対し指示・指導することで、お客様対応力を上げている企業が増えてきています。
上記の「活動内容」に「予定の概要」を追加するのです。

アポイントの段階で、いつ、だれと、なんの目的での予定かを入力します。
そのことで、予定に対して日次や週次でマネージャーが指示・指導することができるようになります。
活動報告は結果に対してのコメントですが、活動予定に対しては面談者が適切か、実施内容が成功シナリオに則しているかなどを事前に確認し改善することができるのです。

ベテランの営業担当の場合、案件クロージングに向けてのシナリオ化ができていますが、経験が浅い場合は、担当者ばかりでキーマンに会えていないケースや、順番を間違えて紹介することで商品のメリットがお客様に伝わらず中止、失注になるケースもあります。事前に活動の確認をすることで、より顧客対応力の強化につながります。

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※日々の活動は「活動入力」と「案件更新」

2.案件

◆案件概要
最初に案件概要として「お客様名」「案件名」「案件分類」「案件発生日」「受注予定日」「金額」「フェーズ」「見込度」「案件区分」「戦略テーマ」「案件内容」などを入力します。

「案件分類」・・・製品群やサービス分類を選択することで、案件分類ごとの受注額や予測が可能となります。
「フェーズ」・・・引合、要件確認、提案、交渉、内示、受注、売上、中止、失注など案件の現在の局面を選択します。
「見込度」・・・受注(100%)、A(90%)、B(75%)、C(50%)、D(25%)、E(0%)などを選択します。( )は受注確度でC(50%)の場合2件案件があれば1件は受注できる確率を示します。
金額に受注確度を掛けた「受注見通し額」を計算で持つことで、今期の予測額を集計することができます。
「案件区分」・・・受注残、パイプライン、ギャップを選択します。この案件が前期からの継続か、今期の予算に対するギャップ対策の案件かを把握します。
「戦略テーマ」・・・2015上期新規セミナー施策、2015上期既存横展開施策など、今期の戦略テーマを選択します。戦略テーマごとにどの位の案件が発生しているかが分かるようになります。

◆BANT
案件内容を深掘るために外資系を中心にBANTを確認する組織も多くあります。
B(Budget:予算)・・・本案件が予算化されているか、費用感を把握しているか。
A(Authority:決済権)・・・権限者はだれか、承認プロセスはどのようになっているか。
N(Needs:必要性)・・・お客様の課題が何で、自社の強みがこの案件に適しているか。
T(Timeframe:導入時期)・・・導入時期がいつで、自社の体制で可能か。

担当者によっては、BANTを確認せずやみくもに商品をPRし見積を提出している場合や、逆にBANTを確認しお客様の状況に合わせ、的確に提案している場合があります。
実績を見ると当然ながらBANTを確認している営業担当がはるかに業績がよいケースがほとんどです。

案件の進捗をみる時点で、BANT情報を確認することにより、一層お客様への対応力を上げることができます。

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※案件情報に「BANT」を指定した例

◆競合情報
現在どの業種でも競合のない案件は少なくなっています。
個々の案件で競合情報を把握することで、クロージング率を上げることができます。
受注や失注の時に、主な競合先と受注要因、失注要因を入力します。特に失注時には、BANTのどこで負けたのを選択し、どのようにしたら受注に至ったのかをできるがけ具体的にコメントするようにします。

そうすることで、受注要因は営業の強みとして活かすことができます。また、失注要因は商品開発や次の商談での重要な情報となります。

営業担当の日々の報告はこの活動報告と案件更新だけですが、これらを営業支援システムで有効に活用することで、お客様への信頼を築き、業績達成を実現することができるようになります。