No.10 案件総量と業績見通し【C】

案件営業スタイルの組織では、どのようにして案件総量や業績見通しを行っているのでしょうか?

案件営業スタイルでは、案件情報を活用して様々な分析を行っています。今期の受注案件から予算対比をゲージグラフで見ることで、今期の実績や達成率などの現状を視覚的に確認できます。
また、受注予定金額に確度を掛けた実績見通し額を計算式で持つことで、Cランクを受注確度50%としたとき2案件に1件の割合で受注できれば、今期の現時点での着地見通しを先行管理として予測することができます。未決案件や放置案件を無くし、生きた案件を管理することが大切です。

現状では、Excelなどで案件管理や受注予測をされている組織が多く見受けられます。
金額の集計としては便利ですが、なぜそのようになっているのか、どうすれば改善できるかを検討するには、案件情報と活動の連携が必須となります。

全体の推移をグラフで確認し、特異点や気になる点があれば、その場でドリルダウンし具体的な案件情報を確認します。さらに、案件に対する活動情報や提案資料を追うことで状況が具体的に見えてきて、それに対する対策を実施できるようになります。

「組織の現状を素早く把握し、業績達成に向けての課題をいち早く見抜き、現状を理解した上で的確な改善策を実施する」この活動を地道に確実に積み重ねている組織が、業績達成を実現しています。

◆今期・確度別案件推移【未決案件】
各案件を「受注(予定)日」の年月を横軸にフェーズ別に積み上げ縦棒グラフで表示します。受注済みの案件と受注見込みの案件が視覚化できます。前月までは受注案件、今月は受注かA(90%)、B(75%)の案件、来月はA(90%)、B(75%)、C(50%)の案件、再来月以降はC(50%)、D(25%)、E(0%)の案件が表示されていれば正しく受注確度が追えている状況です。

受注率が3分の1の組織の場合、再来月以降に予算の3倍以上の案件が積み上がっていると順調な営業活動が実施されていることを示しています。

しかし、実際には先月以前にA、B、Cランクの案件が残っている組織が多くあります。
これは、担当営業が「受注(予定)日」を以前の日時にしたままで、フォローがされていない未決案件です。実際には、案件自体が中止や失注していたり、「受注(予定)日」が来月以降に変わっていたりします。

なんとなく案件が沢山ありそうで、実際には生きている案件はかなり少ないという状況を数多く見かけます。マネージャーは「今期・確度別案件推移グラフ」で未決案件を指摘し、担当営業は同様に案件を常に時系列でみて、未決案件の解消と案件総量の確保に努めます。このことで、生きた案件に集中して効率的な営業活動を推進することができるのです。

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◆1ヶ月以上未活動の案件リスト【放置案件】
案件に対して1ヶ月以上フォロー活動をしていない案件を部署別や営業担当別にリストアップします。せっかく発掘した案件でも、継続的なフォローが実施されないと、気付いた時には他社に決まっていたりします。

BANT(予算/決裁権/必要性/導入時期)の内容をしっかり吟味し、的確な提案を実施するとともに、フェーズ(引合/要件確認/提案/交渉/受注/失注など)をアップしていきます。

案件に対するフォロー活動は実施されていてもフェーズや見込度が一定期間変更されていない場合は注意が必要です。

◆予算と実績見通し・累計【先行管理】
今期の予算と実績見通しを月別にグラフ化することで、月別の先行管理を行うことができます。
実績見通しは受注予定金額に確度を掛けた金額なので、確度通りに各案件が推移すれば、今期の着地予想を見ることができます。

さらに累計グラフにすることで、予算との乖離を視覚化できます。

案件営業スタイルの組織では、案件発生から受注までの期間があり、製造ラインでの在庫確保の必要性からも、特に先行管理が重要となります。

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◆案件区分別案件状況【強み・弱み分析】
案件区分別、フェーズ別に案件を横棒グラフ・100%積み上げグラフで見ると、案件区分別の進捗状況が視覚化されます。どの案件区分が提案や受注、失注が多いかが一目で把握できます。

失注が多い案件区分を確認し、グラフをクリックすると、実際の案件情報のサマリーが表示されます。該当する案件区分を指定しドリルダウンすると実際に失注している具体的な案件情報を確認できます。同一顧客での失注が多い場合は、該当する顧客名をクリックすると、その顧客に対する案件一覧が表示されます。金額の大きい案件から案件内容を確認すると、BANTの確認がされていない、的確なフォロー活動がされていない、製品力の課題など失注に至る要因が見えてきます。

案件区分ごとの強み、弱みを分析し、次に生かすことが大切です。

◆営業プロセス別活動件数【営業の特徴分析】
営業担当の今期の活動を営業プロセス別に横棒グラフで確認してみると、販促活動を積極的に実施している営業担当、クロージング活動が多い営業担当、その中での要件確認は多いが提案は少ないなど各営業担当の特徴が見えてきます。

そうすることで、組織で目指す営業体制と現場との乖離が視覚化されてきます。期ごとの営業方針と現場の営業活動が連動し、顧客起点で効率的な活動を実施できる組織が勝ち組あるいは業績を上げることができるのです。

現状の案件総量と業績見通しをタイムリーに把握し、その要因を分析の上、いち早く知恵だしと活動を開始できる体制を構築することが、業績達成に近づく方法です。