案件営業スタイルの組織では、どのようにして予算の達成を目指しているのでしょうか?
案件営業スタイルでは、予算時に立てた事業計画を戦略テーマに落とし込み、実際の営業活動とリンクさせいち早く期中の動向を把握し、必要に応じて改善処置をとることが大切になっています。まずは個々の案件を戦略テーマに紐づけすることで、各テーマごとの予実やフェーズごとの案件ボリュームの見える化を実現します。そうすることで、戦略テーマごとの達成予想を把握することができるようになります。
戦略テーマについては、事業計画で取り上げた今期取り組むべき戦略をブレークダウンし、「戦略テーマ名」「時期」「市場の確認」「顧客ターゲット」「実施要領」「案件目標」「受注目標」を明確にします。そのうえで、案件作成時にこれはどの戦略テーマに属する案件かを指定できるようにします。
例えば、「新規セミナー」という戦略テーマにおいて、期がはじまって2ヶ月目の段階で受注金額は予算の10%でも、案件総量が予算の40%であれば、このまま継続していくことで「新規セミナー」という戦略テーマについては、今期の予算を達成する可能性が高いと判断できます。
それに対し「横展開」という戦略テーマにおいては、受注金額は予算の20%でも、案件総量が予算の9%しかないとなると、このまま継続しても「横展開」という戦略テーマについては、今期の予算を達成できないと判断できます。
この場合、「横展開」の「顧客ターゲット」や「実施要領」を見直し、改善できることは実施しますが、それでも改善が見込めない時は、新たな「戦略テーマ」を掘り起し、リカバーすることが必要になります。
多くの組織では、予算と事業計画においては時間と労力をかけ、経営の承認をとる努力をしていますが、いざ期がはじまると従来の営業活動を継続し、せっかく立てた事業計画との検証ができていない場合が多く見受けられます。
四半期検証において、予算との乖離が大きく、事業計画の見直しを行おうとしても、日々の業務との連携が取れていなければ、机上の空論となってしまいます。
決算は、どのような活動をしていても必ずやってきます。
どれだけ知恵出しを行い、それに伴う活動をしたかで決算の結果は大きく変わってきます。
そのため、知恵と活動を見える化し、いち早く次の一手を打つPDCAが大切になってきます。
市場の変化が激しく、競業も多い中、この知恵出しと活動を真摯に実行した組織が、予算を達成し、成長しています。
◆【A】Actionについて
PDCAでActionを行うには、活動の見える化が大切です。
営業では活動の質と量がまず一つの基準となります。1ヶ月間で活動できる時間は限られています。
その中で、いかに効率的な活動を行うかが問われています。
案件においては、受注(予定)日、金額、フェーズ、確度とともに、商品分類、主な競合、失注要因などが大切になります。
商品分類ごとのフェーズ分布をみると、失注率の多い商品分類が見えてきます。実際のデータを見てみると、共通の競合に同じ理由で失注しているケースがあります。
この場合、これまでと同じ活動や提案をしていても、同じように失注となります。
顧客情報を深掘りしニーズを再確認したり、同様の案件や業種別の活用から対策を検討するなど、次の一手が必要になります。
一人の活動からベストな対策を模索するのは至難ですが、会社全体での経験値の中から対策を見つけることは比較的容易になります。
組織の強みと弱みを見える化し、次の一手に活用できる体制を構築した企業が継続的な成長を実現しています。