営業力強化の実現⇒定着へと、組織はどのようなプロセスを経て成長するのでしょうか?
プロセス1は「情報の整理・蓄積」です。
まずは顧客情報・営業情報の見える化を推進します。顧客情報を整理し、日々は顧客に対する活動と案件情報の更新を入力します。顧客に対してこれまでどうであったか、案件や商品群、キャンペーンでの活動履歴は、進捗はなど様々な角度から情報が見えてきます。
ここで大切なのは、最小の入力で、無理なく、無駄なく情報化ができるようにすることです。
多くの営業担当は自分が実施した活動を入力しがちですが、大切なのは相手の反応と次の行動。
活動入力では、「活動概要(簡潔に)」と「次の一手(簡潔に)」を入力します。詳細情報は補足情報を備忘録的に必要な場合に入力します。
日々の報告(入力)には個人差が出てきます。
過去の事例では、ある営業担当は入力に1時間近くかかり、別の営業担当は10分程度で入力していました。
この違いを調査すると、時間がかかっている営業担当は、報告する段階で一日の活動が振り返り、1件目はどこで、誰と会って、何を話したかなど、その場で記憶をたどり入力していました。
時間がかからない営業担当は、今日の活動のシナリオができていて、1件目はシナリオ通り、2件目はこういう想定が実際はこうだったなど、活動の結果を要約して入力していました。
この入力時間差はそのまま、営業力の差になっています。
日々の活動を目標に向かってコントロールできているのか、その場その場の活動になっているのかは大きく違います。この差は、定着化支援をすることで、実際に改善していくことができるのです。
現在ではモバイル対応が進み、出先で簡単に入力することもできますが、営業のシナリオ化ができているかが最も大切です。
プロセス2は「日々のマネジメント」です。
プロセス1によりリアルタイムに近い状態で営業と関連する情報が連動して見えるようになります。これらの情報に基づき、経験豊富なマネージャーが具体的な指示を出すことで、組織としてのマネジメントができるようになります。
しかし、マネージャーが今日の活動だけを見て指示を出すと、逆に顧客起点ではなくなる場合もあります。マネージャーとして気になることがある時、その場で過去の商談を確認し、お客様の意向や状況を把握した上で指示することで、的確な対応ができるようになります。
プロセス3は「ベストプラクティス(最善の方法)の構築」です。
情報が蓄積されてくると今まで見えなかった「良い面」と「悪い面」が明確になり、今後何をすればよいかわかるようになります。
「良い面」は営業のベストプラクティスとしてノウハウを共有し、「悪い面」は失注要因を価格、権限者、ニーズ、時期などから分析し改善するようにしていきます。
できる営業担当はこのことを事前に察知し活用していますが、大切なのは、企業として営業ノウハウを資産化し、組織全体のスキルアップを図ることです。
プロセス2で止まっている場合も多くあります。せっかくの情報が顧客起点のビジネスモデルにつながっていないケースです。
プロセス4は「新しい営業活動の定着・成長」です。
最終的には営業担当自身、さらにマネージャー自身が、自分の「良い面」と「悪い面」に対して、「気付いたり」「自己診断できたり」などセルフ・マネージメントができるようになります。
すなわち自己管理ができる組織、自立的に成長する営業組織に生まれ変わることができるのです。
一般に一人前の営業担当が育つには5年〜10年かかるといわれています。自分自身で様々な商品や業務を経験するには長い期間が必要になりますが、組織に営業ナレッジ(知識)が蓄積されていると、やる気のある営業担当なら1年〜2年で充分戦力となる営業担当に成長できます。
例えば、まったく初めての商材を提案する場合でも、新人営業担当の商品知識と経験のみで提案する場合と、同一の商材で過去に受注あるいは失注した商談の経緯や提案書・比較資料・見積書などを確認した上で提案する場合とでは、全くレベルの違う提案となります。
上記の4つのプロセスは一朝一夕には構築できません。
以前、ある会社では社員にパソコンを使う習慣がなく、業績達成の仕組みは導入したいが、自社では難しいと経営者が悩んでいました。
社員の方とお話しすると、業務的には優れた考えをお持ちですが、パソコンが苦手という状況でした。
「これからの時代パソコン使用は避けて通れず、パソコンが使えないと転職もできませんよ」と伝え、やる気をだしてもらい、半年で日々の業務にパソコンを活用できるようになりました。
今はまさにソーシャルネットワークの時代です。
自分の考えをコンパクトに伝えることができないと営業として生き残れない時代になっています。
営業は会社の代表としてお客様に会い、商談します。その状況を会社に報告し、会社としての次の一手をお客様に伝えるのは営業の大事な仕事です。
まだコンパクトな報告ができていない場合は、ぜひ早めに報告の癖をつけられることをお勧めします。
自社の強みと弱みを見える化し、強い競争力を持つには1年から2年はかけて営業ナレッジ(知識)を蓄積していきます。
自社の強みを形にし、競合対策を行っている企業が、勝ち組としていま成長しているのです。